「補助金って、うちでも申請できるのかな?」
そんな疑問を抱いた中小企業経営者が、補助金のプロである中小企業診断士・長谷先生に相談しながら、2025年度版「小規模事業者持続化補助金」のすべてを学んでいくストーリーです。
今回は、申請対象のチェックから補助額の加点条件、対象経費の落とし穴、そしてスケジュール管理までを、対話形式でわかりやすく解説します。
小規模事業者持続化補助金とは?

今年も小規模事業者持続化補助金あるんですね?
どんな内容でしたっけ?



はい!2025年度も公募が始まりました!
概要としては、販路開拓や生産性向上するための取り組みで使うことができる補助金です。
補助額は、最大250万円で対象経費も広いので、個人事業主や中小企業にとって、心強い補助金です。
補助額は、一定の条件を満たしていくごとに50万円〜最大250万円まで変動します。
以前と対象経費や賃金引き上げ等要件が変わっている箇所もあるため注意が必要です。
この後、詳しく見ていきましょう!
対象 | 小規模事業者・個人事業主 |
支援期間確認証発行の受付締切 | 2025年6月3日(火) |
公募受付締切 | 2025年6月13日(金)17:00 |
補助額 | 最大250万円 |
補助率 | 2/3(賃金引き上げ特例に申請する赤字事業者3/4) |
対象者の要件をチェック
①小規模事業者であること



小規模事業者とは、どういうことでしょうか?



小規模事業者の定義をお伝えしますね。
小規模事業者かどうかは、業種ごとに従業員数で決まります。
下記の通りです!
・商業・サービス業(宿泊業・娯楽業除く) ▶︎ 5人以下
・サービス業のうち宿泊業・娯楽業 ▶︎ 20人以下
・製造業その他 ▶︎ 20人以下



従業員数で決まるのですね!
個人事業主は、該当するのでしょうか?



良い質問です!
個人事業主も上記の条件に当てはまっていれば小規模事業者に該当します。個人事業主の方でも雇用されている方がいると思うのでその場合は、従業員数を確認してください。



ちなみに、この条件を満たしていれば、もらえる補助額は、50万円になります。この50万円が基礎になります。



なるほど!!
条件を満たしていくごとに補助額が増えていくのですね!



その通りです!
他の条件も確認していきましょう!
②事業者が免税事業者か、創業日が2023年10月1日以降か



ここは、少しわかりづらいですね。どういうことでしょうか?



以下のいずれかを満たしているか確認してください。
◻︎2021年9月30日〜23年9月30日の間で一度でも免税事業者
◻︎免税事業者であることが見込まれる事業者
◻︎2023年10月1日以降に創業した事業者
+
◻︎補助事業の終了時点で適格請求事業者あること
これが「インボイス特例」というものになります。



免税事業者とは?



ざっくりお伝えすると、前々年の課税売上が1,000万円以下の事業者を免税事業者といいます。
諸費税の申告や納付を免除されている事業者のことです。



一旦は、前々年の課税売上が1,000万円以下か確認すれば良いですね。



その通りです!
このインボイス特例の条件を満たすと+50万円になります。
基礎の50万円とインボイス特例の50万円で現在最大100万円の補助額の申請が可能です。
後一つ、条件がありますので一緒に見ていきましょう。
③事業場内賃金を50円以上引き上げできるか?



賃上げをすれば良いのですね!



その通りです。これは、言葉の意味そのままですね。
補助事業実施期間に事業場内最低賃金を+50円できるとさらに特例を受けることができます。
この賃上げの特例を満たすと+150万円になります。
これらの3つの要件を満たすと補助額最大250万円で申請出来ます。



よくわかりました。
賃上げの特例は、従業員いない場合、使えますか?



良い質問ですね。
これは、使えないんです。
なので、賃上げの特例を満たすためには、従業員が必要になります。
チェックリストまとめ
以上、3つの要件を全て満たすと最大250万円の申請が可能です。
- ①小規模事業者であること
- ②事業者が免税事業者か、創業日が2023年10月1日以降か
- ③事業場内賃金を50円以上引き上げできるか?
対象経費について・注意事項



経費に対象になるかの基準で一番大事な点はなんだと思いますか?



公募要領に記載されているかどうかでしょうか?



近いです!
公募要領の条件を理解した上で事業計画書の内容に入っているか入っていないかで変わります。
例えば、一番最初に計画出した段階で、〇〇の機会を導入したいと申請して、採択された後に▼▼の機会を導入したいとなった場合に計画書に書いてないことは、対象の経費になりません。
同じ事業をやるにしても計画書に書いていないからだめとなります。



なるほど、前提知識として、申請者も把握しておく必要がありますね。



そうですね。計画書に基づいた経費申請が一番大事です!
では、具体的な経費について見ていきます。
主に8項目あります。
・機械装置費・広告宣伝費・WEB関連費・展示会等出展費・旅費・新商品開発費・借料・外注委託費
です。
これらをどのように使うのか代表的なものを抜粋してご説明していきます。



お願いします!
①機会装置費
OKになる機会装置は、どのようなものがあるでしょうか。
生産性向上のために使う冷蔵庫であればOKです!あとは、販売・保管するためとか、要は、事業につかうための冷蔵庫は、対象になります!
番外編
クイズ形式でケーススタディを見ていきましょう
- 所持している機械の交換(事業計画書に記載あり)
-
これは、×です。取り替えるや修理は、対象外になります。
- 中古品の購入
-
中古品の購入は、◯です。ただ、条件が二つあります。1つ目は、50万円以下であること。2つ目は、古物商の許可を持っている事業者から購入することと2社以上相見積もりをとること。ヤフオク等のサイトでの購入は、NGです。
- 新たなサービス提供のための3Dプリンター
-
◯です!新たなサービス提供というところがポイントになります。計画書作成時に参考にしてください。
- 車両の購入
-
これは、ほぼ×です。例えば、キッチンカーの車両費用は、ダメですが、キッチンカーにするための改装費は、OKです。ここは、線引きが難しいので専門家に相談すると良いと思います。
キッチンカーを購入して、新しくリニューアルするための費用等が対象になります。
- PCの購入
-
これは、×です。汎用性が高いものは、NGです。
- 既に導入済みのソフトウェアの更新費用
-
もともと、所持していたり、契約しているものは、対象外になります。
- コワーキングスペース事業を行うための機会購入
-
これは、×です。持続化補助金特有のものになりますが、コワーキングスペースやコインランドリーのように実質的に労働を伴わないものは、対象外になります。
持続化でコワーキングスペース等を行いたい場合は、労働を伴う事業にすればOKです。
例えば、スタッフが常駐して利用者にサービスを提供します。そのために、実質的に労働を伴う事業です。という内容を計画書に書くとOKです。
要は、ダメなのは、セルフチェックインなどの無人のものは、NGです。
- チラシの制作費
-
△です。例えば、自社のパンフレット制作は、だめです。あくまで、チラシやパンフレットでOKの範囲は、会社紹介でなく、事業の紹介であることが大事です。
- SNS運用にかかる経費
-
〇です。
- インターネットを介したDMの発送
-
◯です。
ここでポイントは、インターネットを介したDMは、インターネットと書いてある為、web関連費として経費計上します。
web関連費は、上限があります。上限は、補助額の1/4なので、最大50万円までしか補助されません。
その為、注意が必要です。
- 店舗改装費は、対象か?
-
改装は、OKです。修理は、NGです。
修理と改装の違いですが、
修理は、あくまで現状の復帰
改装は、付加価値を生むことです。
- 不動産取得にかかる経費(敷金・礼金など)
-
これは、NGです。
経費が対象になるかならないかをセルフチェックする際に、2つの視点で考えるとわかりやすいと思います。
事業に関連する経費か汎用性の高さ。ここに着目して対象経費か考えてみてください!
スケジュール
電子申請の入力作業ができるようになります。
計画書の作成段階で、見積書も用意しましょう。
小規模事業者持続化補助金の事務局は、商工会になります。その商工会に確認書をもらいます。
商工会によって、確認書をもらえるまでの期間に差があるため早めにうごきましょう。
予算がある方が採択率が高井傾向にあります。
なるべく早い公募回で申請しましょう。



STEPがたくさんありますね…



長く見えると思いますが、しっかりSTEP2で見積書をもらったり、することでスムーズに終わります。
よくある例としては、当初の予定と交付決定時点で差異が生まれてしまうことが挙げられます。差異が出ると変更や修正で申請が必要になり、事務局とたくさんのキャッチボールが必要になります。
なので、必ず、STEP2で交付決定時点の見積書を準備しておけば大きな事故なく補助金が入ります。
事務局側も大きなイレギュラーなくスムーズに終わらせたいですからね。
まとめ|準備こそ最大の攻略法。今すぐ動き出そう!
2025年度版の小規模事業者持続化補助金は、個人事業主から小規模企業まで幅広く活用できる“販路開拓”と“経営力強化”のための心強い支援策です。
補助額は基本の50万円からスタートし、「インボイス特例」や「賃上げ特例」を活用すれば、最大250万円まで拡大可能。要件さえ満たせば、設備投資や広告宣伝、店舗改装など、事業の加速に必要な幅広い経費に対して補助が受けられます。
しかし、制度を活かすには“早めの行動”と“正しい理解”が欠かせません。
- 計画書に書いていない経費は対象外
- 商工会の確認書は時間がかかる場合も
- 交付決定前の発注・契約・支払いはNG
特に今回からは、GビズIDの取得と電子申請が必須になっており、入力項目も増加。前倒しでの準備がより重要になっています。
今回の記事でご紹介したように、補助金を「申請する資格があるか」「いくらもらえそうか」「どんな経費が使えるか」「いつ何を準備すべきか」といったポイントを押さえておけば、採択のチャンスはぐっと高まります。
「ひとりでの申請が不安…」という方は、中小企業診断士などの専門家に相談するのもひとつの選択肢。補助金は“準備が9割”です。
補助金を活かして、あなたの事業を次のステージへ。
今が、はじめどきです。
この記事があなたの第一歩になれば幸いです。ご質問や「こんな経費も対象になる?」など気になることがあれば、ぜひコメント欄へどうぞ。できるだけわかりやすくお答えします!
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