【2025年版】最大9,000万円!新事業進出補助金の完全ガイド|対象者・補助額・経費・スケジュールをわかりやすく解説
「新しい事業に挑戦したいけど、補助金ってうちも使えるのかな?」
そんな不安を抱えた中小企業経営者さんが、補助金申請のプロ・中小企業診断士の長谷さんに相談。
今回は、新たに発表された「新事業進出補助金(※事業再構築補助金の後継制度)」をテーマに、制度のポイントをストーリー形式で解説していきます。
新事業進出補助金とは?

新しく新事業進出補助金というのがはじまったと聞いたのですが、どんな内容ですか?



この補助金は、新しいサービスや市場に挑戦する事業者に向けた制度で、2025年度から始まった新制度です。
旧・事業再構築補助金の“後継型”として位置付けられています。
対象者チェックリスト
①中小企業者に該当してること



中小企業者とは、どういうことでしょうか?定義を教えてください。



従業員数50名以下、または資本金5,000万円以下の事業者は、どんな業種でも中小企業者に該当します。
業種によって、条件が変わりますが一旦、この数値を元に下回っているか確認する形で良いかと思います。
また、従業員数50名以下、または資本金5,000万円以下なので、どちらかの条件を下回っていれば中小企業者になります。
例えば、小売業で従業員100名、資本金1,000万円の場合は、資本金の要件を下回っているため、中小企業者に該当します!



おっ、それでしたら、該当しそうです!
弊社は、従業員数120名、資本金1,500万円です。



それでしたら、OKです!
この要件は、クリアです!
②機械装置費、システム費、建築(改装)のいずれかを導入すること



機械装置費、システム費、建築(改装)のいずれかが必要なんですね!
システムの導入があります!



そうです!いずれかを必ず入れる必要があります。
システムの導入があれば、こちらの項目もクリアです!
③新たなサービス・新たな市場に挑戦する



新たなサービス・市場とは、、、。
どういうことですか?



事業者にとって、新たな市場であれば大丈夫です。
渋谷区でやっている事業を新宿区で行う場合は、場所が変わっているだけなので、新たな市場にはありませんので注意です。
新たな市場とは、「ニーズを変えること」です。
例えば、パンっていうニーズからさらに細分化して、付加価値の高い高級食パン「乃が美」みたいな高級パンを求めている人向けにしますというのは、該当します。
ただ、ここは、事業計画書を一緒に書く方と相談しながら進めていくことが良いと思います!



わかりました!長谷さんに相談しながら進めていきます!



それであればクリアですね!
④従業員及び役員の「賃金」を年率2.5%引き上げる



賃金の引き上げが必要なんですね!



3年〜5年間で年率2.5以上引き上げる必要があります。
例えば、年間4%で5年間の計画を立てた場合、年間4%×5年間で最終的に20%増加する必要があります。
複利の計算になるため、
基準の給与が100万円の場合、
1年目100万円×1.04=104万円
2年目104万円×1.04=109万円…
と賃金の引き上げを行います。



なるほど。。。少し重いですね。



少し不安は、ありますよね。
ここに関しては、達成するために事業を成長していけるようにしましょう!
実現できそうな計画を立案すればクリアです!
⑤創業2年目以降で従業員が1名以上いること



この要件は、大丈夫そうです!
ちなみに、役員は、従業員に含めて良いのでしょうか?



そうですね!貴社は、従業員120名なので大丈夫そうですね!
役員は、入りませんのでご注意ください。
⑥投資する費用(補助対象経費)が1,650万円以上であること



金額が大きいですね。最低1650万円は、必要ということですね。



そうなんです。
この補助金は、補助額の下限が750万円と決まっています。
補助率が1/2なので、税抜で1,500万円になり、税込だと1,650万円となります。



わかりました。
ここに関しては、自己資金と借り入れを含めて資金の準備します。



そうですね。
融資の相談をうけれるので、必要があれば相談してください。
⑦事業再構築補助金またはものづくり補助金に採択されてから16ヶ月以上経過されていること



ものづくり補助金を使いましたが、完了してから24ヶ月経過しているので大丈夫そうです!



それでしたら大丈夫ですね!
例えば、ものづくり補助金の採択から16ヶ月以上経過したが、まだ、終わってない場合は、だめです。
ここは、注意してください。
チェックリストまとめ
以下、①〜⑦に全てチェックがつけば対象になります。
- ①中小企業者に該当してること
- ②機械装置費、システム費、建築(改装)のいずれかを導入すること
- ③新たなサービス・新たな市場に挑戦する
- ④従業員及び役員の「賃金」を年率2.5%引き上げる
- ⑤創業2年目以降で従業員が1名以上いること
- ⑥投資する費用(補助対象経費)が1,650万円以上であること
- ⑦事業再構築補助金またはものづくり補助金に採択されてから16ヶ月以上経過されていること
補助額・補助率・対象経費について



ここは、表形式でチェックしていきましょう!
項目 | 内容 |
---|---|
補助額 | 従業員数20人以下:750万円〜2,500万円(3,000円) 21名〜50名:750万円〜4,000万円(5,000万円) 51名〜100名:750万円〜5,500万円(7,000万円) 101名以上:750万円〜7,000万円(9,000万円) *()内の金額は、賃金引き上げをした場合。 |
補助率 | 一律1/2 |
対象経費 | 機械・システム・建物・運搬・技術導入・知的財産・クラウドサービス・外注費(上限10%)・専門家経費(100万円)・広告宣伝費(上限売上の5%) |



補助額の賃上げ部分は、初年度で6%あげて、その後も2.5%等計画を作成してあげていく必要があります。この賃上げ要件は、かなりハードルが高いと感じますのであまりおすすめしないです。
あげれる方は、チャレンジしてみてください!
また、補助額の下限750万円と設定されています。このため、750万円を下回った場合、採択取り消しになります。
例えば、840万円で採択されたが、交付決定時に100万円分は認められない経費ですとなった場合、740万円になり、下限を下回り、採択取り消しとなります。
この2点は、注意が必要です。



わかりました。注意します。
ちなみに、従業員数は、どこを見れば良いのでしょうか?



決算資料の中の法人事業概況説明書の2ページ目の従業員数に記載されています。
または、労働者名簿の人数を記載すれば大丈夫です!
対象経費の番外編
新事業進出補助金の経費で注意が必要な項目は、3つです。
①外注費(上限10%)②専門家経費(100万円)③広告宣伝費(上限 売上の5%)
それぞれ見ていきましょう。
①外注費(上限10%)
外注費は、上限10%になりました。上限10%というのは、補助額全体の10%となります。例えば、補助額800万円の場合、800万円の10%で80万円が上限になります。これを超えた外注費は、対象外となります。
②専門家経費(100万円)
専門家に依頼した経費は、100万円が上限になります。
③広告宣伝費(上限 売上の5%)
広告宣伝費の上限は、売上の5%になります。売上の5%というのは、事業計画書で作成した、売上計画の5%になります。例えば、3年間で3億円の売上計画をたてた場合の広告宣伝費は、3億円/3年で1億円/年になります。1億円×5%で500万円が広告宣伝費の上限となります。
これらの点に注意して、申請準備を進めましょう!
スケジュール
- GビズID
- 見積書
- 事業計画
電子入力での申請になりました。
交付決定申請の期日が設けられています。
採択発表から2ヶ月以内です。
2ヶ月以内に申請できなかった場合、採択は、取り消しです。
大体、交付決定まで3ヶ月程度見込んだ場合、事業実施期間は。2026年1月から2027年2月までの1年程度となります。
【まとめ】新事業進出補助金で“攻めの投資”を実現するために
「新事業進出補助金」は、既存の枠にとらわれず新たな市場やサービスに挑戦する中小企業にとって、非常に心強い支援制度です。
ただし、申請には明確な条件と高いハードルもあります。とくに以下の点は要注意です:
- 補助対象経費の下限(1,650万円)を下回ると不採択のリスクあり
- 外注費・専門家経費・広告宣伝費の上限規定に注意
- 必須要件となる「機械装置費」「システム費」「建物費」のいずれかを必ず含める
- 従業員の賃金引き上げ(年率2.5%以上)を3〜5年継続する計画が必要
正しく準備を整えれば、最大7,000万円(賃上げ枠なら最大9,000万円)という大規模な補助も目指せる本制度。
ぜひこの記事のチェックリストを参考に、まずは自社が対象となるかを確認してみてください。
「挑戦したい」その気持ちを、国が後押ししてくれるチャンスです。
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